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偽者 ~PRETENDER~ -46

佐緒里と内藤 -18

風呂から出た佐緒里は素っ裸のままクローゼットを開けて品定めし、これにすると呟いて内藤を振り返る。
「これをパジャマ代わりにしていいでしょう??」
肩からウェストの括れを経て尻や腰のムッチリ感、柔らかな肉付きの太腿からキュッと引き締まった足首に続くのびやかなラインに目を細めていた内藤は佐緒里の言葉で我に返る。
指差すのはミラショーンのオフホワイト、ウールシャツでお気に入りだが緩んだ頬を引き締めて表情を変えることなく、
「ウール製で肌触りがいいと思うよ」
元々スリムフィットではなくゆったりサイズのシャツを着けて袖を捲り上げ、姿見に映してクルリと一回りした佐緒里は、
「ねぇ、可愛いと思うでしょう??男物のシャツをフワッと着ることにあこがれていたの……似合っている、ねぇ、どう思う??」
「似合うよ、佐緒里のために用意してあったようだよ。ウール生地のフワッとした柔らかさが優しくて上品な雰囲気を強調している」
「ウフフッ、ありがとう。風呂上がりで喉が渇く、何か飲みたい……シュワシュワが好いな」

冷蔵庫から取り出した鯛を薄く切って白い皿に並べ、薄切りにした紫玉ねぎを載せてたっぷりのオリーブオイルを振りかけてレモンを絞る。
よく冷えたスパークリングワインとグラスを用意して佐緒里の元に戻ると、
「美味しそう、カルパッチョとよく冷えたスパークリングワイン。辛口だよね、そうでしょう??」
「そうだよ、オーストラリアワインの辛口。美味いよ……処女喪失記念に乾杯」
「恥ずかしい……乾杯……へぇ~、オーストラリア産って話は聞いたことがあったけど飲むのは初めて。でも、美味しい」
「カリフォルニア、チリ、オーストラリア……口に合うのを探すのもいいよな」
「クククッ、抱き心地の好い女も探している??本命は美香ちゃんでないと困るけど、浮気相手としちゃ私は最高だと思うよ」
「そうだな、一緒に歩くと自慢できる容姿だし、セックスの好奇心を満たしてくれる、本命って言うより秘密を持った関係には最高だな」
「ひどい言われ方、褒めてもらっている気がしない」
言い終えた佐緒里は内藤を見つめたままで、そっと目を閉じる。

ワインを口に含んで佐緒里を抱き寄せると性的昂奮で乾いた唇に舌を這わせて、ハァハァッと息を荒げる。
しどけなく開いた唇の隙間からワインを注ぎ込むとゴクッと音を立てて飲み込み、佐緒里の両手が背中と頬に伸びて濃厚なキスを催促する。
上唇、下唇と甘噛みすると舌も構って欲しいと催促するように這い出てくる。
舌先でつつきあって上下に重ねて擦りあうと、内藤の頬を擦る佐緒里の手に力がこもり、閉じていた瞳が開いて言葉にできない思いを伝えようとする。
「可愛いよ、佐緒里」
「ありがとう。あなたとの時間は本当の私でいられる」

内藤との関係が密になりすぎると本当の自分でいることに慣れてしまい、店で育ててきた偽者の魅力を損なうことになるかもしれないので今の関係が丁度いい。
店ではお客様に、冷たく感じる高めの好い女と言われることが多い。それは別れた亭主の事がトラウマとなって男性を信じることが不安で自然とバリアーを張っているに過ぎない。
店での源氏名さおりと違って本当の佐緒里は強い男に支配されたいと思い、それが別れた亭主を結果として増長させることにつながった。
本当の自分を見せると同じ過ちを繰り返しそうで自然と構えていたが、一目見た内藤の振る舞いに、あるがままの自分を受け入れてくれそうな雰囲気を感じ取り、両親が訪ねてくると言ってきたので無理を承知で難題を聞き届けてもらった。内藤は予想以上の対応で佐緒里の思う通りに両親の気持ちを操ってくれた.
自分の客にすることも出来たが妹分の美香の客にして、今の関係を続けるのが男性不信を払しょくするのにちょうどいいと自分に言い聞かせる。

この瞬間の幸せに酔いしれる佐緒里の気持ちを知るはずもない内藤が抱き寄せて唇を合わせる。
佐緒里の口腔に侵入した舌が歯茎をなぞり、上顎を撫でる。
絡ませたり擦ったり内藤の舌が自在に振舞うと期待していたアナルセックスで満足したはずの身体が火照り、脳天から火花が散るような新たな快感に襲われる。
「ねぇ、このまま続けてもいいの??我慢できなくなっちゃうよ??」
「佐緒里の可愛い口に放出して、アナル処女を頂いた。肝心のアソコはまだだけど、明日の朝まで楽しみは取っておこうか」
「ウフフッ、いいよ。私もその方が良い……今はスパークリングワインとカルパッチョを心置きなく味わいたい」

ボトルの半分ほどを残してシャンパンストッパーで栓をする。
鯛の切り身一切れが残った皿を見つめた佐緒里は、食べてもいいかと内藤に声をかける。
「佐緒里のために作ったカルパッチョだよ、最後の一切れを食べてくれれば嬉しい」
美味そうに食べ終えた佐緒里は満足そうな笑みを浮かべて内藤ににじり寄り、
「性欲も食欲も今日の処は満足した。抱っこして……」
ソファの肘掛けを背にした内藤は背中を預ける佐緒里を背後から抱きしめ、成熟した女とウールシャツの感触に酔いしれる。
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ちっち

Author:ちっち
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