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お伽話

心花 -3

心花の額に掛かる髪を整えた男が顔を近付けていくとハァハァッと息を荒げながらも視線を外すことなく見つめ返す。
「久しぶりなの、優しくしてね・・・」
男はチュッと音を立てて額に唇を合わせて離れてしまう。
「あぁ、バカにしてる。
キスしたくなるほどの魅力を感じないの??」
「夜は長いよ、心花さん相手に焦りたくない。オレは典哉と書いてフミヤ、正しく呼んでもらうのは半分以下かな」
「フミヤ・・・さん。好い名前だと思う。典哉さんと心花、何か通じるものがあるね、そう思わない??」
「思うよ。乾杯しようか・・・バスの用意をしてきてもいいかな??」
「好いよとは言いにくいわね。待ってて、手を洗ってくるから」
心花が姿を消すと同時に風呂を用意する音が聞こえる。

ワインクーラーから取り出したボトルについた水気を拭いてキャップシールを切り取りストッパーを外す。
コルクに指をかけてしっかり握り、ゆっくりボトルを回すとコルクが浮いてくるのが分かる。
なおもボトルを回してコルクが抜けそうになるほど浮き上がってくれば、コルクとボトルの隙間からガスが抜け出るのを待って栓を抜く。
二つのグラスにシャンパンを注ぎ入れて乾杯する。
「美味しい・・・シャンパンとこのバラの花は私のために用意してくれたの??」
「そうだよ。真っ赤なバラの花一輪の花言葉と共に受け取ってもらえたら嬉しい」
「口説き文句と思ってもいいの??・・・ありがとう。真っ赤なバラの花言葉は、あなたを愛しています。一輪の意味は一目惚れって事だよね??違った??」
「そうらしいよ、にわか知識で花屋さんに教わったばかりだから間違いないと思う。それに、シャンパンはシャンパーニュ地方で作られたもので、産地が違えばスパークリングワインって呼ばれるけど、そのシャンパーニュ地方ではシャンパンの泡に幸せがこもっていて、泡がシュワシュワするのは幸せが続くって意味があるらしいよ」
「それは酒屋さんに教わった事なんでしょう??」
「くどかったね、ごめん・・・乾杯しようよ。心花さんとの出会いに乾杯」
「乾杯・・・満月の日のガリガリ君に感謝しなきゃ。それと、さん付けは止めてくれる??ここまできて心花さんは、ちょっとね・・・ミカって呼んで欲しい」
「クククッ・・・ミカ、美しいだけじゃなく好い女」
「ありがとう・・・ねぇ、キスして、誤魔化さないキスが好い。後悔させないでね」

心花は仕事を通じての人間関係や別れて久しい恋人を原因として他人との距離感に悩んでいたが、目の前の典哉に対しては自分から距離を詰めようとしている事を意識する。
なぜだろうと自問すると氷のように固まりつつあった気持ちが、典哉の笑顔で少しずつ氷解していく事に思いを巡らす。
屈託のない笑顔は北風と太陽のイソップ寓話のように心花の気持ちを解きほぐし、典哉に会った翌日から他人を信じる気持ちが強くなったような気がする。

向かい合って座っていた典哉は伸ばした両手を左右に開き、心花は誘われるままに立ち上がって左膝に座る。
「ねぇ、優しくしてね。男性とこんな事をするのは久しぶりだから」
無言の典哉が左手を背中に回して心花を支え、右手が頬を擦ると、
「ミカって呼んで・・・お願い」
典哉が優しく微笑んで、
「ミカ、可愛いよ」と囁くと口元を緩めて目を閉じる。

男は視覚で恋をして女は聴覚で恋をするという。
典哉の可愛いよという声で目くるめく悦びに包まれる心花は、目を閉じて耳に残る余韻に酔いしれる。
典哉は頬を紅潮させて目を閉じる心花の美しさにときめき、心の昂ぶりのままに唇を重ねる。
二度三度と啄むように唇を合わせて心花の反応を確かめ、唇を挟んで舌先でつつき迎え入れようと唇が開くと舌を侵入させる。
舌を重ねて擦り、性急と感じさせないように絡ませると久しぶりだと言った心花が反応を示して息を荒げて舌が妖しく蠢き始める。
互いの舌が口腔を出入りし、典哉が半開きにした唇を丸めると心花の舌だけが出入りを繰り返す。
「クククッ・・・いやらしいキス。私の舌がチンチンになって女の子に出入りするような感じを味わった。典哉はスケベ、エッチな男は好きよ」
「風呂の準備が出来る頃じゃない??」
「キスが気持ち好いから忘れてた・・・フミヤが先に行って、私も後で・・・ねッ」
嫣然と微笑む心花の容姿は典哉の股間を直撃して服を脱ぐのが躊躇われる。
「オレが先でなきゃダメか??」
「先に行けない理由があるの??・・・ふ~ん、今更照れてもしょうがないでしょう。見せて・・・」

下着も脱いで素っ裸になった典哉の股間には半立ちの象徴がぶら下がり、心花は視線を外す事が出来ずに唾を飲む。
待ってるよ・・・見せてと言いながら見つめるだけで立ち尽くす心花に何も強要することなく、さわやかな笑顔を残した典哉はバスルームに向かう。

フゥッ~・・・バスタブに肩まで浸かった典哉は両足をバスタブの縁に載せて両手を宙に伸ばし、思い切り身体を伸ばす。
「あらッ、リラックスしているね。フミヤにとって、文字通り裸の付き合いを始めてする私は緊張する必要のない女・・・嬉しいわ」
皮肉交じりの言葉にも嫌味な感じはなく、心花の表情は楽し気に笑みが浮かぶ。
「そうだよ。満月の夜に声をかけられた時も懐かしいって言うか、初対面って感じはしなかった。今もオレの腿を跨ぐミカを背中越しに抱きしめるのが自然な気がする」
「クククッ、これでいいの??」
両手で胸と股間を隠した心花は後ろ向きでバスタブに入り、背中を典哉に預けてゴリゴリ押し付ける。
顔をしかめた典哉が背中越しに胸の膨らみを揉み、先端を摘まんで、これでどうだと問うと、
「イヤンッ、そんな・・・卑怯な事を」
「クククッ、お茶目で可愛いな」
耳元で囁くと抵抗は止み、満面に笑みを浮かべて振り返ると同時に目を閉じる。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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