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不倫 ~immorality~

再会―12

三度目のシャワーを浴びた二人は裸のままでベッドに横たわる。
「さすがに、もう駄目だな。彩が相手でも役に立たないよ」
「ウフフッ、好いよ。十分満足したから・・・彩も疲れた・・・」
健は背骨に沿って指を這わせ、その後を追うように息を吹きかける。
「クククッ・・・くすぐったい、止めてよ」
笑みを含み、怒っている様子が感じられない抗議をする。
「じゃぁ、これはどうだ??」
健は彩の髪を指先で梳くように戯れ、摘まんだ髪の先で首筋を刷くように刺激する。
「イヤンッ、だめ・・・くすぐったい、ダメ、ダメ、我慢できない」
「すごいよ、鳥肌がすごい。自分の髪の毛でくすぐられて・・・クククッ、オナニーみたいなものか??」
「もう、バカにしてる・・・嫌いになっちゃうよ」
健は覆い被さるようにして抱きしめ、あちこち所構わずチュッチュッと音を立てて唇を這わせていく。
「クククッ・・・寝ようと思ったのに、これじゃ寝らんないよ・・・あのね、聞いてくれる」
「ん??どうした??・・・そんなに眠いのか??セックスを満喫した証拠だな」
「違うの、まじめな話・・・違うかな・・・健にとっては、どうでも良いことかもしれないけど、聞いてくれる??」
思いつめたような彩の様子に不安を宿らせながらも居住まいを正した健は、俯せのままの彩を見つめる。

枕に顔を埋めた彩は、
「あのね、彩は幸せだって言ったけど、そうではないの・・・夫が浮気をしているようなの。確実な証拠があるわけじゃないんだけど、色々とそれらしいことがあって間違いじゃないはず」
「そうか、なんて言ったら良いのか分かんないし、何を出来るかも分からないけどオレは彩の味方だよ」
「うん、話しただけで楽になった・・・こんな事、親にも言えないしね。心配かけたくないから・・・仲のいい友達にも相談できるような事じゃないし・・・これからも、あいつの悪口を聞いてくれる??」
「愚痴をこぼす相手に選んでもらったって事が嬉しいよ。できる事ならオレに話すことで、彩の苦い思いが半分になれば良いな・・・」
「ウフフッ・・・健と二人で居れば楽しいことは二倍に、悲しいことは分かち合うから半分に・・・でしょう??」
「そうだよ・・・浮気の話じゃ、オレも偉そうなことは言えないけどね」
「クククッ・・・そうだね。人妻を誘うような人に浮気の相談なんかできないね・・・疲れちゃった。眠っても良い??・・・気持ち良かった、ありがとう。腕枕してくれる??」
「オレも眠くなったよ。彩が良すぎて早かったのに、疲れは二倍。それを二回だから・・・疲れた」
「う~ン、そうだね・・・彩の知ってる健はもう少し頑張り屋さんだったけどなぁ・・・バイブは電池が切れない限り頑張るからね。夫とはしばらくしてないから一人で・・・ウフフッ、でも気持ち良かったよ」

健の右手で抱きかかえられるようにして腕枕で眠る彩は、誰にも話したことのなかった夫の浮気を吐き出して気が楽になったのか、悩みを抱いているように見えない静かな姿で深い眠りに落ちている。
胸に右手を置き右足を絡ませて眠る彩の重さを愛おしさと感じる健は、起こしてしまうことを恐れて身じろぎもせずにじっと見つめる。彩の不安や不満を解消する術を思い浮かばないことに溜息を漏らす。
白い天井に視線を移してじっと見つめていると、記憶の中の彩の姿が鮮明になってくる。


「健は絶対に浮気したらダメだからね。彩だけを見てくれなきゃ怒るよ・・・分かった??約束の指切りをしてもらうよ」
指切りをしたその夜、今の妻と初めてベッドを共にした。ベッドに入る前は気になっていた彩の事も忘れて、その身体に没頭し年上の女性の持つ酸いも甘いも噛み分けた手管に溺れていった。
そして数か月後に子供を宿したことを聞いて結婚を決意した。
今は、誰はばかることなく幸せだと言える。
あの時、彩との関係を大切にしていたら今の自分はない。
あの夜がなければ、彩と結婚していたかもしれない。いや、きっと彩と結婚していたと思う。彩との生活を想像していたし、彩もオレのプロポーズを待っていてくれたと思っている。
そうではないと思う自分がいる。今の幸せを大切にしたいと思いながら、現に彩とベッドを共にしている。
妻を大切に思っているし、20年ぶりに抱いた彩も愛おしいと思う。
走馬灯のように蘇る出来事を振り返りつつ、結論の出ない事を考えている内に眠りの世界に落ちていった。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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