誕生日
誕生日 -1
浮気を疑われないためには行動がパターン化するのを避けた方が良い事を理解しているものの、頭もアソコも固いオレにはムリだなと独り言ちた男は自然と浮かびそうになる笑みを堪えてゴホンッと空咳をする。
俯き加減に歩いていた女性が驚いたように顔を上げ、爽やかな表情で会釈してくれる。
「ごめんなさい、驚かしちゃったようですね」
「いいえ、私こそ失礼しました」
前日の曇天と違い暑い日差しを届ける太陽のような笑顔と香水の香りを残して立ち去る後姿に視線を送る。
余程の事が無い限り毎週水曜日にアユの部屋を訪ね、店に出るまでの時間を一緒に過ごすか、一旦家に帰って夕食を済ませて店に顔を出す。
こんな事を続けて気付かないはずがないものの、妻は今日も快く送り出してくれた。
目的のマンションに近付いた男はスマホを取り出し、
「もうすぐ着くよ」
「うん、分かった。そのシャツ、似合っているよ」
立ち止まった男がマンションの部屋を見上げるとカーテンが揺れたように見えたもののアユは姿を見せようとしない。
今日は絶対に驚いてくれる仕掛けを用意して待っているからね。どんな用意か当たればあなたの言うことを何でも聞いてあげる、その代り外れたら私のお願いを聞いてもらうからね、約束したよ。
アユが無茶な事を言うはずがないと信じている男が苦笑いと共にメールを読んだ時刻から七時間余り過ぎている。
「アユ、どうしたんだ、その格好は??」
「早く閉めて、恥ずかしいんだから・・・気にいらない??」
男を玄関で迎えたアユは、幅15cmほどの赤いリボンをパレオやサリーのようにドレス代わりにして身にまとっている。
股間を隠して一方は背中からワンショルダーで胸に回し、腹部から上がってきたもう一方と胸で交差して胸の膨らみを隠すために一周して元の位置で可愛く結ばれている。
「へん??おかしいって言うならすぐに止めるけど・・・明日があなたの誕生日でしょう??誕生日を祝うのは奥様に任せて私は40代最後の日に名残を惜しむのに付き合ってあげる」
「40代最後の日って言うのは止めてくんないかな・・・急に歳を取ったような気になるよ」
「大丈夫、あなたは見た目だけじゃなく、まだまだ若いよ。奥様もそう言ってた」
「うん??店に行った??」
「先週の金曜日。店を開けて直ぐ・・・車だからってトニックウォーターをオーダーされた時点で奥様だって直ぐに分った。あなたの好きなジントニックを意識させようとしたはずだから」
「怒ってなかっただろう??どんな話をしたの??」
「色々な話をしたよ。あの日は一人目のお客様が開店一時間過ぎだったから時間はたっぷりとあった。最初は針のムシロって言うか、いつ怒られるかとヒヤヒヤしていたけど最後まで優しかったよ」
「そうか・・・水商売の経験があるから苦労を分っているからな」
「それだけじゃない、あなたと会った頃は今の言葉で不倫から抜け出すのに苦労してたって。年下のあなたを利用して相手に諦めさせたんだけど、あなたとの間に子供が出来て結婚する事になったって・・・本当なの??」
「あぁ、大筋で間違ってないよ。当時のオレは学生でややこしい事を考えるのが面倒だから結婚すればすべて解決するだろうって思った・・・動機は不純だけど、今は幸せだよ」
「あら、こんな色っぽい恰好の女を前にして惚気る気なの??・・・フフフッ、奥様も同じような事を言ってたよ。どうしていいか分らなくって結婚してくれたんだろうから離婚も早いだろうって思ってたけど、奥様には良い夫だし子供には好い父親を続けてくれたって」
「ふ~ん・・・不倫、当時は愛人って言ったと思うけど、そこまで話したのはアユが初めてじゃないかな。息子やオレの両親も知らないよ」
「そうなんだ。奥様以外の女性と付き合うのは初めてじゃないし、私にもどうぞとは言わないけど、別れろとは言わないって。あなたは女性と付き合う事をエネルギーにする人だから相手がいなくなったら、その方が心配だって・・・相手がだれでも自分の所に帰ってくるって自信満々のようだった」
「そうか、そうだよ、オレにとって一番大切な人は妻。もしもアユと先に会っていたら、アユが一番大切な人になっていたかも分らないけどね」
「そうなの・・・残念。それはそうと、この格好はびっくりした??ビックリしたなら言うことを聞いてもらうよ」
「あぁ、びっくりした。アユは淑やかな女性だと思っていたからね。静かに絵を描くのが似合っている人だと思っていたから」
「そうだ、今同居している姪御さん、大学が私の後輩なんだってね」
「そんな事まで話したのか。うちにも、その絵と同じようなオレの絵を飾ってあるよ」
「クククッ・・・行く先々に自分の絵を飾られているってどんな感じ??」
「正直に言うと落ち着かないな」
「あなたが来る日は外した方が良いの??・・・そう、外さなくてもいいんだね。ありがとう・・・一日早い誕生日プレゼントは私。わ・た・し・の身体がプレゼント、リボンを解けばスッポンポン、何も隠さない本当の私を召し上がれ」
「ありがたくプレゼントを頂戴するけど、ぞの前にアユの希望って何なの??それが気になるよ」
「クククッ、そんなに気になる??・・・私のしてもらいたい事は、はしたないけど抱いて欲しいの。最近ぜんぜん可愛がってもらってないもん。それはそれで身体目当てじゃないって事で嬉しいけどね・・・リボンを解いてスッポンポンの私を自由にして良いよ」
「そうか、アユは欲求不満なのか。オレよりも20も若いって事を忘れてたよ。
でも、せっかくの包装を解くのは勿体ないな」
アユは男の目の前でテーブルに腰を下ろし、
「私は飾って楽しむモノじゃなく、触れて食べて味わって欲しいのに・・・これでも見るだけなの??」
ハァハァッ・・・揃えた両足を徐々に開き、赤いリボンが守る股間を晒すと息を荒げて羞恥を露わにし、ダメ、恥ずかしいと呟いて手で覆う。
「アユ、オレを挑発してその気にさせるんだろう。隠したんじゃ昂奮しようがないよ・・・このままで待っていなさい」
部屋の隅にリボンの残りを見つけた男はアユに囁き、その場を離れる。
テーブル越しにアユの手を掴んで背中に回し、手首を縛ってしまう。
「怖くはないだろう??」
言葉もなくコクンと頷いたアユは肩と剥き出しの腹部を上下させるほど一層激しく息を荒げる。
「痛い事はしないでね・・・信じてるけど怖い」
浮気を疑われないためには行動がパターン化するのを避けた方が良い事を理解しているものの、頭もアソコも固いオレにはムリだなと独り言ちた男は自然と浮かびそうになる笑みを堪えてゴホンッと空咳をする。
俯き加減に歩いていた女性が驚いたように顔を上げ、爽やかな表情で会釈してくれる。
「ごめんなさい、驚かしちゃったようですね」
「いいえ、私こそ失礼しました」
前日の曇天と違い暑い日差しを届ける太陽のような笑顔と香水の香りを残して立ち去る後姿に視線を送る。
余程の事が無い限り毎週水曜日にアユの部屋を訪ね、店に出るまでの時間を一緒に過ごすか、一旦家に帰って夕食を済ませて店に顔を出す。
こんな事を続けて気付かないはずがないものの、妻は今日も快く送り出してくれた。
目的のマンションに近付いた男はスマホを取り出し、
「もうすぐ着くよ」
「うん、分かった。そのシャツ、似合っているよ」
立ち止まった男がマンションの部屋を見上げるとカーテンが揺れたように見えたもののアユは姿を見せようとしない。
今日は絶対に驚いてくれる仕掛けを用意して待っているからね。どんな用意か当たればあなたの言うことを何でも聞いてあげる、その代り外れたら私のお願いを聞いてもらうからね、約束したよ。
アユが無茶な事を言うはずがないと信じている男が苦笑いと共にメールを読んだ時刻から七時間余り過ぎている。
「アユ、どうしたんだ、その格好は??」
「早く閉めて、恥ずかしいんだから・・・気にいらない??」
男を玄関で迎えたアユは、幅15cmほどの赤いリボンをパレオやサリーのようにドレス代わりにして身にまとっている。
股間を隠して一方は背中からワンショルダーで胸に回し、腹部から上がってきたもう一方と胸で交差して胸の膨らみを隠すために一周して元の位置で可愛く結ばれている。
「へん??おかしいって言うならすぐに止めるけど・・・明日があなたの誕生日でしょう??誕生日を祝うのは奥様に任せて私は40代最後の日に名残を惜しむのに付き合ってあげる」
「40代最後の日って言うのは止めてくんないかな・・・急に歳を取ったような気になるよ」
「大丈夫、あなたは見た目だけじゃなく、まだまだ若いよ。奥様もそう言ってた」
「うん??店に行った??」
「先週の金曜日。店を開けて直ぐ・・・車だからってトニックウォーターをオーダーされた時点で奥様だって直ぐに分った。あなたの好きなジントニックを意識させようとしたはずだから」
「怒ってなかっただろう??どんな話をしたの??」
「色々な話をしたよ。あの日は一人目のお客様が開店一時間過ぎだったから時間はたっぷりとあった。最初は針のムシロって言うか、いつ怒られるかとヒヤヒヤしていたけど最後まで優しかったよ」
「そうか・・・水商売の経験があるから苦労を分っているからな」
「それだけじゃない、あなたと会った頃は今の言葉で不倫から抜け出すのに苦労してたって。年下のあなたを利用して相手に諦めさせたんだけど、あなたとの間に子供が出来て結婚する事になったって・・・本当なの??」
「あぁ、大筋で間違ってないよ。当時のオレは学生でややこしい事を考えるのが面倒だから結婚すればすべて解決するだろうって思った・・・動機は不純だけど、今は幸せだよ」
「あら、こんな色っぽい恰好の女を前にして惚気る気なの??・・・フフフッ、奥様も同じような事を言ってたよ。どうしていいか分らなくって結婚してくれたんだろうから離婚も早いだろうって思ってたけど、奥様には良い夫だし子供には好い父親を続けてくれたって」
「ふ~ん・・・不倫、当時は愛人って言ったと思うけど、そこまで話したのはアユが初めてじゃないかな。息子やオレの両親も知らないよ」
「そうなんだ。奥様以外の女性と付き合うのは初めてじゃないし、私にもどうぞとは言わないけど、別れろとは言わないって。あなたは女性と付き合う事をエネルギーにする人だから相手がいなくなったら、その方が心配だって・・・相手がだれでも自分の所に帰ってくるって自信満々のようだった」
「そうか、そうだよ、オレにとって一番大切な人は妻。もしもアユと先に会っていたら、アユが一番大切な人になっていたかも分らないけどね」
「そうなの・・・残念。それはそうと、この格好はびっくりした??ビックリしたなら言うことを聞いてもらうよ」
「あぁ、びっくりした。アユは淑やかな女性だと思っていたからね。静かに絵を描くのが似合っている人だと思っていたから」
「そうだ、今同居している姪御さん、大学が私の後輩なんだってね」
「そんな事まで話したのか。うちにも、その絵と同じようなオレの絵を飾ってあるよ」
「クククッ・・・行く先々に自分の絵を飾られているってどんな感じ??」
「正直に言うと落ち着かないな」
「あなたが来る日は外した方が良いの??・・・そう、外さなくてもいいんだね。ありがとう・・・一日早い誕生日プレゼントは私。わ・た・し・の身体がプレゼント、リボンを解けばスッポンポン、何も隠さない本当の私を召し上がれ」
「ありがたくプレゼントを頂戴するけど、ぞの前にアユの希望って何なの??それが気になるよ」
「クククッ、そんなに気になる??・・・私のしてもらいたい事は、はしたないけど抱いて欲しいの。最近ぜんぜん可愛がってもらってないもん。それはそれで身体目当てじゃないって事で嬉しいけどね・・・リボンを解いてスッポンポンの私を自由にして良いよ」
「そうか、アユは欲求不満なのか。オレよりも20も若いって事を忘れてたよ。
でも、せっかくの包装を解くのは勿体ないな」
アユは男の目の前でテーブルに腰を下ろし、
「私は飾って楽しむモノじゃなく、触れて食べて味わって欲しいのに・・・これでも見るだけなの??」
ハァハァッ・・・揃えた両足を徐々に開き、赤いリボンが守る股間を晒すと息を荒げて羞恥を露わにし、ダメ、恥ずかしいと呟いて手で覆う。
「アユ、オレを挑発してその気にさせるんだろう。隠したんじゃ昂奮しようがないよ・・・このままで待っていなさい」
部屋の隅にリボンの残りを見つけた男はアユに囁き、その場を離れる。
テーブル越しにアユの手を掴んで背中に回し、手首を縛ってしまう。
「怖くはないだろう??」
言葉もなくコクンと頷いたアユは肩と剥き出しの腹部を上下させるほど一層激しく息を荒げる。
「痛い事はしないでね・・・信じてるけど怖い」